習慣化のコツはモチベーションに頼らないこと『小さな習慣』【書評】

2022年8月26日生活

表紙のねこ(?)かわいい

自分を変えるのは一時的な努力や気合いではなく、習慣的な行動にすることであるというにはみなさん薄々気がついていることだと思います。毎日1時間英語の勉強ができたら1年後には英会話に困らないでしょうし、毎食の食べる量を減らして運動をすれば痩せることも理解しています。なにかで大成するためには10,000時間が必要という話があったりしますし、よい習慣はよい結果を、悪い習慣は破滅を導くことは明らかです。

特に習慣化が不得意なわけではないのですが、なにかを始めるときに習慣にすることがより簡単にできるのであれば、今後数十年の人生がかなり楽になるんじゃないかと思いました。そんな毎日やればいいことはわかっているんだけどできないという問題を『小さな習慣』が解決します。

『小さな習慣』で言っていることはひとつだけ

なにかしらの行動を習慣にする方法を紹介するというのはこの本の趣旨なのですが、一冊を通して言っていることは基本的にはひとつだけでした。

小さな習慣の基本は、こんなに簡単でいいの?と思うくらいの課題を自分に与え、それをほんのわずかな意志の力を使って実行する

ちょっと何言ってるのかわからないかもしれないのでもう少し具体的に言うと、「習慣にしたいことをできるだけ小さい行動に分けて、 絶対に失敗しない強度の行動を毎日必ず行う」というものです。

例えば筋トレで言えば、「毎日ジムに行く」ではなく「毎日1回腕立て伏せをやる」

英会話だったら「毎日1時間勉強する」ではなく「1ページだけ参考書をみる」

という具合でしょうか。本ではこれらの「小さな習慣」が「小さくない習慣」になる理由やこれらの手法が効果的な科学的裏付け、失敗しないための工夫や仕組みについて紹介しています。

モチベーションに頼るのは最悪

一度毎日やろうと決めたことができない理由としては「忘れていた」「やる気が出ない(モチベーションが上がらない)」などがあります。「忘れていた」は大きく張り出しておくでもプッシュ通知するでもこういった仕組みで解決するとしてもう一つの「やる気が出ない(モチベーションが上がらない)」はどうしましょう。解決策はモチベーションを無視してやるということしかありません。

モチベーションで自分を動かすことがうまくいくのは、エネルギーがありあまっているとき、健康的な考え方をしているとき、他に大きな誘惑がないときに限ります。モチベーションが高いからやる/モチベーションが低いからやらないではなく、モチベーションの高低に関係なく絶対にできる『小さな習慣』を行うということが非常に重要です。

ある習慣は他の習慣に作用する

習慣が非常に強い理由のひとつに『習慣が習慣を生む』ということがあります。例えば毎日の腕立て伏せを達成できていると自然とコンビニでカロリーの多い食事を避けるようになります。本を読むことが習慣になれば、本屋が目に入れば足を運ぶことも多くなるはずです。習慣にできた自信や努力して獲得した習慣を無駄にしたくないという心理が習慣は他の習慣を生み出すので、「小さな習慣は10分以内に終わるものにする」というルールでまずはひとつの習慣を獲得することの効果が非常に大きいわけです。

一度にやる習慣化は2つか3つだけ

習慣が重要なのはわかっているし小さな習慣なら達成できる気もします。おそらく多くの人は習慣にしたいことは様々あって僕も自分が行うべき小さな習慣を5つくらい書き出しました。しかしそれはやってはいけないことであると言います。

小さな習慣は負担が小さいとは言っても負担がまったくないというわけではありません。多くの習慣を一度に身につけようとするとそれだけ自分に負担がかかることになるので一度に行うものは2〜3つだけにして、完全に習慣化が完了してから他のものを追加することが推奨されています。

それでも習慣にするのが無理だったら

この本を読んで小さな習慣を決定してそれを忘れない工夫をすれば習慣化は完全に達成すると確信したのですが、それでもできないこともあるかもしれません。その場合はおそらくそもそもやりたくなかった/習慣化の必要性がなかったということなんだと思います。

行動が習慣になるまでには平均で66日かかると様々な研究から言われています。しかし実際に習慣になるまでに時間は18日から254日と大きな幅がありました。習慣にしやすい行動もそうでないものもあるということです。なかには習慣化に長い時間を要するものもありますが、習慣はすぐに身につかないと同時にすぐに消えるものではないということも明らかになっています。

なにかに挫折や三日坊主になったことがあり今なおそれを習慣にしたいという人は、この本を読んでも読まなくてもいいのですが『小さな習慣』をただ毎日行うというチャレンジもいいのではないでしょうか。

Posted by にしり